[相続・成年後見制度・死後事務委任契約]アプリの収益と相続、アプリ開発者の権利の継承と事前対策について。

アプリ開発者が個人または法人としてアプリを運営し、その収益を得ることができます。

しかし、開発者が亡くなった場合、そのアプリの収益はどのように相続されるのでしょうか?

本記事では、アプリ収益の相続財産としての扱いと、相続税の対象になるケース・ならないケース、そして相続人がスムーズに収益を引き継ぐための対策について解説します。

アプリの売上(広告収益・サブスクリプション)は相続財産になるのか?

アプリから得られる収益には主に次のようなものがあります:

• 広告収益(Google AdMob、Unity Ads など)

• アプリ内課金(IAP)(Apple App Store、Google Play など)

• サブスクリプション収益(定期課金サービス)

• 有料アプリの売上

• スポンサー収益やアフィリエイト収入

これらの収益は、開発者が生前に築いた「デジタル資産」の一部として扱われます。

法律上、アプリ自体の著作権や販売権は「無体財産権(知的財産権)」、アプリから生まれる収益(広告収益・課金売上など)は「金銭債権」として相続財産に含まれます。

ただし、プラットフォーム(Apple/Googleなど)の規約次第で、相続できるかどうかが異なるため、注意が必要です。

相続税の対象になるケース・ならないケース

相続税の対象となるケース

個人開発者の場合

• アプリの収益は、銀行口座に振り込まれる「金銭債権」として、相続財産に含まれる可能性があります。

• そのため、相続人は適切な手続きを行い、相続財産として整理する必要があります。

• 相続手続きに関しては、遺産分割協議書の作成や相続関係の証明が求められることがあります。

法人がアプリを運営し、開発者がオーナーだった場合

• 会社の利益として計上されている場合、アプリ自体は法人の財産として扱われます。

• 会社の株式が相続の対象となるため、法人の運営権や事業承継の準備が必要になります。

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行政書士は、事業承継に関する書類作成や会社の定款・契約の確認、遺言書の作成サポートなどが可能です。

相続財産にならない可能性があるケース

プラットフォームの規約で相続が認められない場合

• AppleやGoogleの開発者アカウントが個人名義で登録されている場合、プラットフォームの利用規約上、相続が認められずアカウントが停止されることがあります

※このようなケースでは、事前に契約内容を確認し、法人化やアカウント管理の対策を講じることが重要です。

法人が運営し、個人の資産として計上されていない場合

• アプリの収益が法人の口座に入っており、開発者個人の財産ではなく法人の資産として扱われている場合、相続財産には含まれません

そのため、個人の相続とは切り離し、法人の運営引き継ぎ(事業承継)として対応する必要があります

3. アプリ収益を相続人が引き継ぐ方法(口座変更、運営権移行)

(1)銀行口座・支払い情報の変更

アプリ収益の受け取り口座を相続人が引き継ぐためには、次の手続きが必要です。

• 銀行に故人の口座が凍結される前に、相続手続きを行う。

• 収益を受け取る新しい口座を開設し、プラットフォームの管理画面で変更を申請。

注意点:AppleやGoogleは相続による口座変更を明示的にサポートしていない場合があるため、事前の対策が必要となります。

(2)プラットフォームアカウントの管理

AppleやGoogleの開発者アカウントは、個人アカウントの名義変更ができないため、次の方法を検討する。

• 法人アカウントを活用する

• 法人名義でアプリを運営すれば、代表者が亡くなっても法人が継続可能。

• 会社の株式を相続する形で運営権を引き継げる。

• 事前に相続人と共有する

• 信頼できる家族や共同開発者にアカウント情報を共有し、適切に管理できる体制を作る。

Appleの場合の注意点

Apple IDは個人アカウントと紐づいているため、死亡後にアカウントがロックされる可能性がある。

事前に**「デジタル遺産管理人(Legacy Contact)」を設定**しておくのが望ましい。

4. 事前にできる対策

アプリの収益をスムーズに相続するためには、以下の対策が有効です。

(1)法人化しておく

個人開発者の場合、法人化してアプリを会社の資産にすれば、法人の継続性が確保され、相続時のリスクを減らせる。

(2)遺言書を作成する

• アプリの運営権を誰に引き継ぐかを明記(法人がある場合は株式の扱いも記載)

• アプリ収益の分配を明確にする

• 支払い口座や関連情報をリスト化しておく

(3)プラットフォームの規約を確認し、相続可能な形に整える

• 可能であれば法人名義で運営する

• 複数のメンバーでアカウント管理を行い、一人に依存しない運営体制を整える

(4)共同開発者や信頼できる人と運営情報を共有

完全に個人管理にしていると、開発者が亡くなった時にアカウントや収益の引き継ぎが困難になる。

事前に信頼できる家族やビジネスパートナーと、以下の情報を共有しておく:

• 開発者アカウントの管理情報

• 収益の受け取り口座情報

• サーバー・ドメインの契約情報

まとめ

アプリの収益は相続財産として認められることが多いですが、プラットフォームの規約や口座の管理次第で、スムーズに相続できるかどうかが変わります。

 個人開発者の場合

• 生前に遺言書を準備し、収益の管理方法を決めておく。

• AppleやGoogleのアカウント管理を工夫し、家族に引き継げるようにする。

 法人の場合

• 会社の資産として管理し、事業承継の準備をする。

• 株式の相続を考慮し、運営体制を整える。

特に、AppleやGoogleの開発者アカウントは個人アカウントがロックされる可能性があるため、事前に対策を立てておくことが重要です。

今のうちに「もしもの時」に備えて、アプリの権利や収益の継承プランを作っておきましょう!

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