近年、メタバース内での音楽イベントが活発に開催されるようになり、アーティストやDJがバーチャル空間でライブパフォーマンスを行う機会が増えています。
特に、Decentralandをはじめとしたメタバースプラットフォームでは、仮想通貨(MANAなど)を使った報酬の支払いや、NFTを活用したチケット販売が一般的になりつつあります。
しかし、メタバース内での音楽イベントは、現実世界のライブイベントとは異なり、法的な契約の整備が不十分なケースが多いのが現状です。
そこで本記事では、メタバースで音楽イベントを開催する際の出演契約書のポイントと注意点を解説します。


1. なぜメタバースで出演契約書が必要なのか?
メタバースでの音楽イベントは、リアルのライブとは異なり、新しい形のトラブルが発生する可能性があります。
考えられるトラブル事例
• 出演料未払い:仮想通貨での支払いがうまくいかず、出演者が報酬を受け取れない
• イベントの中止・延期:メタバースのサーバー不具合や主催者の都合でイベントが中止される
• 著作権・ライセンス問題:メタバース内で流す楽曲が適切な権利処理をされていない
• NFTやチケット収益の分配トラブル:アーティストと主催者の間で収益の分配割合が曖昧
このような問題を防ぐために、事前に出演契約書を作成し、契約内容を明確にしておくことが重要です。
2. メタバースでの音楽イベント出演契約書に含めるべき項目
出演契約書を作成する際には、以下のようなポイントを明確に記載する必要があります。
① 出演者と主催者の情報
契約の当事者が誰なのかを明確にする必要があります。
• 出演者(アーティスト名・本名・メタバースアカウントID)
• 主催者(イベント運営者の名前・会社名・メタバース内の連絡先)
注意点:メタバースでは匿名アカウントでの契約が多いため、実名を記載するか、メタバース上での公式の連絡手段を記載しておくことが望ましい。
③ 出演料の支払い方法とタイミング
• 報酬額(仮想通貨 / フィアット通貨)
• 支払い方法(MANA、ETH、USDT など)
• 支払いのタイミング(出演前 / 出演後 / 分割払い、着手金など)
• キャンセル時の対応(全額支払い / 一部支払い / 無償対応)
注意点:仮想通貨で支払う場合、価格変動の影響を考慮し、契約時点の相場基準を明記しておくと良い。また、仮想通貨ウォレットの情報を事前に共有し、送金ミスを防ぐ。
4.著作権・音源使用許可
メタバース内で演奏する楽曲が、出演者自身のオリジナル曲なのか、他者の楽曲を使用するのかを明確にする。
カバー曲・リミックスを演奏する場合の権利処理
主催者がイベントの録画・再配信を行う場合の許可
NFTを発行する場合の収益分配割合
注意点:NFT化された音楽の収益配分をどうするか、出演者と主催者の間で明確にする必要がある。
5.免責事項とキャンセルポリシー
天災・サーバートラブル・プラットフォームの規約変更により出演できなかった場合の対応
出演者が出演できなくなった場合の代替措置
イベントが中止された場合の費用負担
注意点:メタバースのイベントは不確実性が高いため、免責事項を明確に記載することが重要。
6.まとめ
メタバース内での音楽イベントは、新しい経済圏として成長していますが、法的整理が不十分な領域でもあります。
出演者と主催者の間でトラブルを防ぐためには、出演契約書を適切に作成し、報酬・著作権・キャンセルポリシーを明確にしておくことが重要です。
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