モラハラとは精神的虐待、DVの一種です
そもそもモラルハラスメント(以下モラハラ)は家族間・職場や友人関係、至る所で発生する精神的虐待、DVの一種となります。
精神的虐待は肉体的な暴力や虐待と同じくらいひどく相手の心を傷つける悪質な行為です。
最近では世の中にモラルハラスメントという言葉が周知され、モラハラを原因とした慰謝料請求も裁判で認められやすくなりました。
ところが、実はいまだに自分がモラハラの被害にあっていることに気がついてない人、または自分がモラハラを行っていることに気がつかない人が沢山いるのです。
なぜならモラハラのような精神的DVは、心をコントロールされてしまう結果、思考がストップしてしまうからなのです。
モラハラ簡単チェックリスト
- 夫(妻)を怒らせると長期間無視される
- 気分によって態度がコロコロかわる
- 夫(妻)の機嫌を損ねないよう機嫌をうかがっている(不満を抱かせないようにしている)
- 夫(妻)と対等に話ができない
- 夫(妻)が帰宅すると緊張する
- 経済的DVがある(収入額に比して少額の生活費しか家に入れない)
- 会話の中でバカにされたり、嘲笑されることが多い
- 妻(夫)が楽しそうにしている、もしくは幸福そうにしていると嫌味を言われたり心を歪められる
- 自分より立場の低い者に対して高圧的な態度をとる(クレーマー)
- すぐにキレて話が出来ない
※今回のチェックリストは、夫婦間で起こるモラハラを想定としています。
これらに当てはまる数が多いほどモラハラの可能性が高まります。
ただし注意しなければならないのは、人はときにモラハラではなく同じような行動をしてしまう事があります。
モラハラの場合は、「上記の行為が繰り返し行われるか」がポイントとなりますので、ここが判断ポイントになります。
また、私がモラルハラスメントカウンセリングをしている中でも、殆どの場合(ほぼ100%ですが)、当てはまるのがモラハラ加害者とその親の関係も歪んでいます。
モラハラ加害者の親もまたモラハラの問題を抱えた夫婦であったり、モラハラ加害者の母親がモラハラ行為を子供である加害者にしていたパターンなどがあります。
話を聞いていくとモラハラ加害者の生育歴のどこかにさらにモラハラ加害者が出現します。これはモラハラの連鎖が起こっていることを表します。
モラハラは、親から子へ、また子から孫へと連鎖してしまう根深いものなのです。どこかで気がつき止めなければならないのです。
モラハラ加害者との生活、離婚するか?モラハラは治るのか?
このようなモラハラ加害者と結婚してしまった場合には離婚一択しかないのでしょうか。
事例から考えてみたいと思います。
モラハラ加害者の性質は自己愛性人格障害と言います。
モラハラを研究した有名な本「モラルハラスメント」の中では以下のように定義されています。
モラハラ加害者とは、自己中心的であり、人から称賛されたい、批判を認めないとか、特有な自己愛的性質(ナルシシック)な性質を持っている者を言います。そして、この行動が一時的ではなく、これらの行動をしても後悔も罪悪感も覚えず、絶えず誰かを自分の利益のために操り、または破壊しようとする行動をするのである。モラルハラスメント{マリーフランス・イルゴイエンヌ}
このような自己愛性人格障害のモラハラ加害者と生活を続けるためには、まともな人間であればあるほど非常にストレスとなります。
そしてモラハラ被害者にあたる人は、常に相手の機嫌をとり怒らせないように神経を尖らせ、それでもコロコロと気分が変わる相手に翻弄されながら生活を強いられます。
もしモラハラ加害者が側にいて、距離を置くことができる関係なら「さっさと逃げた方がいい」というのが結論です。
しかし夫婦間、親子間で起こるモラハラは、様々な要因から「逃げることが出来ない」状況が多く苦しみが増してしまうのです。
モラハラを治すことはできるのか?
「いつか反省して、改心してくれないか・・・」
こんなモラハラ被害者の多くの声を聞いてきました。
最近はモラハラ加害者更生プログラムというものもあって、モラハラをした人が自らカウンセリングに通って治療にあたるというものもがあります。
しかしこれは自分がモラハラだと気がついた人には有効ですが、先述のとおりモラハラは代々家族間で連鎖している場合が多く、その様な環境が当たり前に育ってきたモラハラ加害者に自身の過ちを気がつかせるのは至難の技と言えます。
当事務所でモラハラにより離婚したご夫婦のケースを見ていても、離婚を決意して家族が自分のもとから離れることに現実味を帯びた途端、初めて反省するモラハラ加害者が多いです。
よって、一緒にいる間に治す・もしくは治るような期待はしないほうが良いでしょう。
モラハラ克服への道
モラハラ被害者は、先ずは正常な思考を取り戻すために、モラハラが一体どういう行為か、自分のされている行為がモラハラなのか多くの情報を入れ理解することから始めてください。
この時、親や友人に相談しても「努力が足りないとか」「あんな素敵なご主人(奥様)がまさか」と古い価値観でかえって責められ、より悩みが深くなる事があるので注意が必要です。
本来なら、客観的な第三者の指示を仰ぐのが一番良いのですが、それができない場合は、
先ずは悲鳴をあげている自分の気持ちに気づき、加害者の機嫌を取るような行動を自分が行っていたらストップしましょう。
健全な人間関係へシフトさせなければならないからです。
こうして、静かに一歩一歩距離をとりながら、自分の自己肯定感を少しずつとり戻していくことを意識することが必要となります。